家族の気持ちにも寄り添う介護の仕事

在宅介護を選択した家族には、2つの覚悟があります。1つ目は、介護する家族の自由が多かれ少なかれ奪われてしまうという時間的制約を受け入れた覚悟です。2つ目は、介護している方のいざというときを受け入れるための覚悟です。介護の仕事に携わろうとする側から、そのような覚悟を決めた家族とどのように関わっていったら良いのでしょうか。

介護のプロとして関わる以上は、学んだ知識と経験を惜しみなく開示し、介護の素人であるその家族に、介護の技術を余すことなく教えてあげることが大事です。そこで逆に得られることも多く、それをまた次の現場で活かすことができ、その経験が次の誰かのためになるお仕事なのです。

在宅介護か施設介護かのどちらかから在宅介護を選択された家族の方は、医療機関から離れる不安や一人介護などの不安からとてつもない孤独感にさいなまれてしまうことも多々あります。自分の選んだ在宅介護は正解だったのか、何かあったらどうしよう等、ささいな不安はだんだんと大きくなっていきます。在宅介護をされている家族の方とは、どんな話でも、介護とは関係のない話でも趣味の話でも、たくさん話をして聞いてコミュニケーションを密に図ることが重要です。先の見えない介護の現場は行き詰まりがちです。在宅介護の家族丸ごと介護してみせます、くらいの大きな器になりましょう。心いっぱいのコミュニケーション力を発揮して、家族を支えることが介護を支えることにつながります。